不眠症や睡眠不足|実は更年期から来てるかも?【医師監修】

一般的に、閉経前後の5年を合わせた10年間の期間を更年期と呼びます。40歳を過ぎた頃から、男女問わずエストロゲンの分泌は不安定になります。女性の場合、エストロゲンは多くなったり少なくなったりと揺らぎながら減少していきます。この“揺らぎ”によって、ほてりやのぼせ、発汗、不眠など身体的・精神的不調が現れますが、この更年期に起こる不調こそが更年期障害と呼ばれています。

実は更年期症状は100種類以上もの症状があると言われており、40〜50代女性の「2人に1人」がこの更年期障害に悩んでいます。

今回は、更年期に感じる「寝つきの悪さ」「毎日不眠で身体がだるい」などの症状について詳しく解説していきます。

産婦人科医 監修

北野 理絵先生
産婦人科医師として活躍するほか、ヨガやピラティスのインストラクターの資格も保持。 産婦人科専門医・指導医、臨床遺伝専門医、日本医師会認定産業医、女性のヘルスケアアドバイザー、全米ヨガアライアンス認定インストラクターRYT200等

 

更年期に起こるつらい不眠とは・・・

更年期の不眠症について

40-50代に差し掛かり、急に寝つきが悪くなった。中途覚醒してしまう。。。
そんなお悩みお持ちではないでしょうか?このような状態を一般的に不眠症と呼びます。不眠症とは眠りにつきにくい、夜中に何度も目が覚めてしまい熟睡できた気がしない、早朝に目覚めてしまうというような症状のことを指します。

不眠症は日中の疲労感や集中力の低下を引き起こし、昼間の疲労感など、日常生活に支障をきたすことも少なくありません。しかも、これらの症状は一晩や2〜3日といった短い期間ではなく、数年も続くことがあるんです。

更年期における不眠症を改善するためには、原因を特定し、解決策をライフスタイルに取り入れること、また、必要に応じて医師にも相談していくことも重要です。

よく眠れない原因は、もしかして更年期症状?

原因は女性ホルモンの減少かも

40〜50代の女性の場合、更年期によるホルモンバランスの変化が不眠症に繋がっている可能性があります。エストロゲンとプロゲステロン、この2つの女性ホルモンは眠気の抑制や促進などといった作用があり、睡眠と深く関係しています。

更年期にはこれらの女性ホルモンが減少するため、睡眠リズムが乱れやすくなり、寝つきが悪くなる、眠りが浅いなどの症状が現れます。特にエストロゲンの減少は、睡眠の質を低下させ、夜間の目覚めを頻繁にする原因になることが知られています。

他の更年期症状による影響も

また、ホットフラッシュや発汗といった更年期特有の症状も、睡眠を妨げる要因となります。夜間に突然の暑さや発汗を感じることで、深い眠りから覚醒してしまう人も多いです。さらに、これらの症状からストレスや不安が引き起こされ、さらなる睡眠障害を誘発する悪循環を生み出してしまうことも。

睡眠不足は、日中の疲労感や集中力の低下、イライラなど精神的な悪影響をもたらし、生活の質を下げることに繋がります。更年期における不眠症への適切な対処は、日々の生活の質を維持するためにも非常に重要です。

更年期不眠はいつまで続くの?

更年期の不眠症は個人差がありますが、一般的には数年にわたって続くことがあります。特に、更年期の始まりから数年間は不眠症の症状が強く出ることが多いです。数年も不眠の期間が続くと、身体的疲労感だけでなく精神的にも疲労感を及ぼしてしまいます。適切な対策を取ることで症状は軽減され、日常生活への支障も改善されるので、簡単に取り入れられる解決策から行ってみましょう。

医師からのワンポイントアドバイス

睡眠の質の改善には、有酸素運動も有効です。就寝直前に運動するのではなく、朝や日中がおすすめです。やむを得ず夜に運動する場合は就寝の2時間前までに終了してください。運動習慣の無い方は、いきなり走ったりせず、まずは週1-2回のウォーキングから開始してください。

夜なかなか眠れなくて困っています。

ぐっすり眠れるように遮光カーテンを使っていますが、夜中に何度も目が覚めてしまいます。先生、どうしたら眠れるようになりますか?
あさこさん
あさこさん
北野先生
北野先生
まずは「遮光カーテン」を使うのをやめてみることから改善していきましょう。

人体は朝日を浴びることで体内時計がリセットされます。
朝になったら自然と室内が明るくなり目が覚めるのが理想です。

今日からできる予防と対策💡

ここでは早速簡単に取り入れられる効果的な不眠症の予防と対策について説明していきます。

漢方薬を服用する

漢方薬は更年期の不眠症の治療にも活用されており、内側から体のバランスを整えることを目指すことを目指します。たとえば、「酸棗仁湯」は、心を落ち着かせる効果があり、睡眠の質を改善するのに効果的です。また、「天王補心丹」は、心身の緊張を和らげ、安眠を促進します。

これらの漢方薬は、ただ睡眠を促すだけでなく、心の緊張を和らげたり、ストレスを緩和したりすることで、自然な眠りを促してくれます。実は更年期の不眠症は、単に睡眠が取れないという問題だけでなく、心身の不調和が原因であることが多いんです。そのため、漢方はこのような根本的な原因にアプローチすることができるので、おすすめの解決策といえます。

ただし、漢方を選ぶ際には、専門の医師や薬剤師と相談し、自分の体質や症状に合った処方を選ぶことが重要です。全ての人に同じ漢方薬が効果的とは限らないため、個々の状態に合わせた選択が必要です。

薬局で買えるサプリメントや医薬品を服用する

不眠症にはメラトニン含有のサプリメントも有効です。メラトニンは、自然な睡眠を促すホルモンで、体内の睡眠リズムを整えるのに役立ちます。特に更年期にはホルモンバランスの変化により、メラトニンの産生が乱れがちになるため、サプリメントで補うことが推奨されます。次に、カモミールやバレリアン根など、リラックス効果のあるハーブを含むサプリメントも効果的です。これらのハーブは、神経を落ち着かせ、リラックスした状態へ導くことで、自然な眠りを促します。

医薬品では、薬局で買える「命の母」がおすすめです。ホルモンバランスを整える効果のある漢方が数種類含まれており、幅広く効果が期待できること、身近な場所で購入できることがメリットです。

不眠症に効くツボを押す

不眠症の症状を和らげるためのツボがいくつかあります。特に、「新白」「神門」「内関」などのツボは、ストレスや不安を軽減し、深いリラクゼーションを促すのに役立ちます。

  • 新白:手のひらの小指側の端、手首のしわの直上に位置するツボ
  • 神門:手首の内側、小指側のしわの端に位置するツボ
  • 内関:手首の内側、中央から三本の指幅上に位置するツボ

不眠だけでなく、吐き気や胃の不快感にも効果があるとされ、全身の緊張を和らげてくれます。

アルコールやカフェイン、タバコを控える

睡眠の質を低下させる嗜好品を避けることも重要です。アルコールは一時的に眠気を誘うため、寝る前に飲んでしまう、という方も多いのではないでしょうか?実際にはアルコールは睡眠の質を悪化させ、中途覚醒を引き起こす可能性があるのでアルコールはほどほどにしましょう。また、カフェインは覚醒作用があり、寝つきを悪くするので午後14:00以降には飲まないようにしてみてください。タバコも同様に、ニコチンの刺激で質の良い睡眠を妨げるため、できれば避けるようにしてください。

 

寝る前にリラックスする習慣を見つける

良い睡眠を得るためには、寝る前のリラクゼーションも重要です。深呼吸、瞑想、ヨガ、温かいお風呂など、自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。またスマートフォンやパソコンなどのブルーライトを発するデバイスは、メラトニンの分泌を阻害し、睡眠を妨げるため、寝る前の使用は避けるようにしましょう。

 

ホルモン補充療法を行う

もし夜間のホットフラッシュが原因で寝つきが悪かったり、途中覚醒が頻繁に繰り返されるようであれば、ホルモン補充療法を行うこともおすすめです。
前述のように睡眠不足は生活に悪影響を及ぼします。ホルモン補充療法を受けることで、ホットフラッシュをはじめとする様々な更年期症状が改善することが期待できます。

不眠の原因は直感的にストレスや精神的なものが関係しているイメージがありますが、ホルモンバランスの乱れによって自然的に発生しているものも。

最後に

「ただの年齢のせいだろう、、」「きっと更年期だろう、、」と自己判断だけに頼ることは危険です。更年期障害ではなく、他の病気のサインの可能性もあります。

更年期の症状が辛い、と少しでも思った際は、ぜひ気軽に更年期を熟知した医師にご相談ください。 適切な診療を受けて、何が原因なのか突きとめることが大切です。

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