【医師監修】更年期の頭痛を和らげる対策3選

一般的に、閉経前後の5年を合わせた10年間の期間を更年期と呼びます。40歳を過ぎた頃からエストロゲンの分泌は不安定になります。女性の場合、エストロゲンは多くなったり少なくなったりと揺らぎながら減少していきます。この“揺らぎ”によって、ほてりやのぼせ、発汗、不眠など身体的・精神的不調が現れますが、この更年期に起こる不調こそが更年期障害と呼ばれています。

更年期症状は100種類以上もの症状があると言われており、40〜50代女性の「2人に1人」がこの更年期障害に悩んでいます。

今回は、更年期症状の1つである「頭痛」を和らげるための対策法を5選ご紹介いたします。

産婦人科医 監修

北野 理絵先生
産婦人科医師として活躍するほか、ヨガやピラティスのインストラクターの資格も保持。
産婦人科専門医・指導医、母体保護法指定医、女性のヘルスケアアドバイザー、日本医師会認定産業医 全米ヨガアライアンス認定インストラクターRYT200等

40歳を過ぎてからひどい頭痛に悩まされている…
突然、偏頭痛持ちになってしまった…

そんな方も多くいるのではないでしょうか?

実は、更年期にはホルモンバランスの変化により頭痛が起こりやすくなります。
本記事では、更年期の頭痛を和らげるための具体的な対策法について、医師監修のもと詳しく解説していきます。

ワンポイントアドバイス
もともと頭痛持ちだった方が、更年期の時期に頭痛が悪化する場合があります。原因を調べて、いろいろな方面からアプローチしていくことで症状を和らげていきましょう。

更年期における頭痛の原因

ホルモンバランスの変化

更年期にはエストロゲンなどのホルモンバランスが変化し、その影響で頭痛を引き起こされることがあります。女性ホルモンの分泌量が減少し、エストロゲンやプロゲステロンのバランスが崩れることで、血管の収縮や拡張が不安定になり、頭痛が起こりやすくなります。

特に、閉経前後の時期はホルモンバランスが大きく変動するため、頭痛が頻繁に起こる人もいます。また、ホルモンバランスの変化は、自律神経の乱れにも影響を与え、それが頭痛の原因となることもあります。自律神経は、心拍数や呼吸、体温、消化など、体の様々な機能をコントロールしています。

ストレスと精神的負担

更年期は、ホルモンバランスの変化に加えて、様々なストレスが重なることがあります。仕事や家庭、老後の不安など、様々な要因からストレスを感じ、それが頭痛に繋がることも。
ストレスを感じると、交感神経が優位になり、血管が収縮し、血圧が上昇します。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌され、それが頭痛を引き起こすこともあります。更年期特有の症状であるホットフラッシュや発汗、不眠などもストレスの原因となり、頭痛を悪化させる可能性も。

更年期は人生の転換期であり、子供たちが独立したり、親の介護が始まったりと、生活環境が大きく変化する時期ですよね。様々な変化に適応していく必要があり、それがストレスに繋がり、頭痛が悪化していることも考えられます。

身体的な変化

更年期には、ホルモンバランスの変化に加えて、様々な身体的な変化が起こります。
そのような変化も頭痛の原因になっていることがあります。

骨粗鬆症

骨の密度が低下し、骨折しやすくなります。
骨粗鬆症になると、首や肩の筋肉が緊張しやすくなり、それが頭痛の原因となることがあります。

筋肉量の減少

筋力が低下する傾向があります。
筋肉量の減少は、姿勢が悪くなったり、身体のバランスが崩れたりすることに繋がります。姿勢が悪くなると、首や肩の筋肉に負担がかかり、頭痛が起こりやすくなります。

代謝の低下

代謝が落ち、太りやすくなる傾向があります。
体重増加は、首や肩の筋肉に負担をかけ、頭痛を引き起こす可能性があります。

睡眠の質

睡眠の質が低下する傾向があります。
睡眠不足は、ストレスを増加させ、頭痛を悪化させる可能性があります。

医師からのアドバイスこれからご案内する対策法は、更年期の頭痛はもちろん、頭痛全般に効果が期待できます。
ぜひ試してみてくださいね。

更年期における頭痛の対策

血流を流す

適度な運動

更年期に起こる頭痛は、血行不良も原因の一つと考えられています。
適度な運動は、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげ頭痛の予防や改善に効果が期待できます。運動によって血行が促進されると、筋肉や組織への酸素供給が向上し、疲労物質の蓄積の軽減も期待されます。

運動は、心身のリフレッシュにも効果があります。運動が気分転換となり、ストレスを軽減し、頭痛の予防や改善に繋がるかもしれません。まずは軽い運動から始めてみましょう。ウォーキングやヨガ、ストレッチなど、自分に合った運動を見つけ、まずは「継続すること」を目標にしていきましょう。
運動は、毎日行う必要はありません。週に2~3回、30分程度でも効果があります。運動をする際は、無理せず、ご自分のペースで行いましょう。

マッサージとツボ押し

頭部や首のマッサージは、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があります。
マッサージによって血行が促進されると、筋肉や組織への酸素供給が向上し、疲労物質の蓄積が軽減することが期待できます。

ツボ押しは、特定のツボを刺激することで、血行を促進したり、筋肉の緊張を和らげたりする効果があります。頭痛に効果的なツボには、百会(ひゃくえ)、太陽(たいよう)、風池(ふうち)などがあります。

百会は、頭頂部の正中線上、両耳の頂点を結んだ線と、前髪の生え際を結んだ線の交点に太陽は、こめかみの少し上、目の外側から指2本分くらいのところです。風池は、後頭部の髪の生え際、首の骨のすぐ横にあります。
これらのツボを指で押したり、軽く揉んだりすることで、血行を促進し、頭痛を和らげることができます。

体を温める

温湿布や温かいシャワーなどで体を温めることは、血行を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があり簡単にできる方法としておすすめです。温めることで血管が拡張し、血流が促進されます。血流が促進されると、筋肉や組織への酸素供給が向上し、疲労物質の蓄積が軽減されていきます。また、温めることで筋肉がリラックスし、緊張が和らぐため、頭痛の原因となる筋肉の収縮が抑制され頭痛が軽減することが期待できるでしょう。

具体的な方法を3つ紹介します。

〈オススメの温め方〉
温湿布:市販の温湿布を使用したり、タオルを温めると良いです。
温かいシャワー:シャワーを浴びる際に、少し熱めのお湯を使うようと良いです。
湯船:38~40度のお湯に10~15分ほど浸かることが目安です。

蒸しタオルでリラックス

蒸しタオルを使うことで⼀時的に頭痛の症状を和らげることができます。蒸しタオルの使⽤⽅法ご紹介いたします。

タオルを温める

タオルを温めるには、電⼦レンジや温⽔などを使⽤します。⽕傷を避けるために、タオルが熱すぎないことを確認してください。

⾸や肩に当てる

温めたタオルを⾸や肩に当てます。肩こりからくる頭痛などにも効果的です。また、蒸しタオルはリラクゼーション効果もあり、ストレスを軽減することができます。

5〜10分間当てる

タオルを5〜10分間当てて見てください。タオルが冷めたら、再び温めるか、新しい温かいタオルに交換してください。

 必要に応じて繰り返す

蒸しタオルを使った対策を定期的に⾏うことで、頭痛や肩こりの症状を和らげることができます。

医師からのアドバイスその他、上記でホットアイマスクやホッカイロなども気軽に取り入れられる方法としておすすめです⭕️

 

目を休める

視覚の負担を減らす

更年期には、目の疲れや視力低下が起こりやすくなります。これは、ホルモンバランスの変化によって、目の周りの筋肉が衰えたり、目の機能が低下したりすることが原因と考えられています。目の疲れは頭痛の原因となることがあるため、更年期には目の負担を減らすことが大切です。

パソコンやスマートフォンなどのデジタル機器の使いすぎは、目の疲れや頭痛の原因となります。デジタル機器を使用する際は、こまめな休憩を挟むようにしましょう。

また、画面の明るさを調整したり、ブルーライトカットのメガネを使用したりするのも効果的です。照明も、明るすぎたり暗すぎたりすると、目の負担になります。適切な明るさの照明を使用しましょう。

定期的な目の休憩

長時間のパソコン作業や読書など、目を酷使する作業をしていると、目の疲れや頭痛が起こりやすくなります。そのため、定期的に目を休めることが大切です。

目安としては、20分作業したら、20秒間遠くのものを眺めたり、目を閉じたりするといいでしょう。目を休める際は、遠くの景色をぼんやりと眺めるようにしましょう。また、目を閉じたり、軽くマッサージしたりするのも効果的です。目の周りの筋肉をリラックスさせることで、目の疲れを軽減させることができます。

目の運動

目の周りの筋肉を鍛えることで、目の疲れを軽減させることができます。目の運動は、簡単にできるため、仕事中や休憩時間などに、こまめに行うようにしましょう。目の運動には、様々な方法がありますが、ここでは、代表的な運動を1つ紹介します。

〈目の運動方法〉
1. 目を大きくゆっくりと左右に動かす。
2. 目を大きくゆっくりと上下に動かす。
3. 目を時計回りにゆっくりと回す。

これらの運動を、それぞれ10回程度繰り返します。
目の運動を行う際は、無理のない範囲で行うことがポイントです💡

生活リズムの改善

規則正しい睡眠習慣

更年期には、ホルモンバランスの変化によって睡眠の質が低下することがあります。
睡眠不足はストレスを増加させ、頭痛を悪化させる可能性があります。そのため、規則正しい睡眠習慣を身につけることが大切です。毎日同じ時間に就寝・起床することを心掛け、睡眠時間を確保するようにしましょう。睡眠時間は、大体7~8時間を取るのが目安です。

一方で、寝る前にカフェインやアルコールを摂取するのは避けましょう。カフェインやアルコールは、睡眠の質を低下させる作用があります。

寝る前は温かいお風呂に入ったり、アロマを焚いたりするのも効果的です。リラックス効果があるため、質の高い睡眠に繋がります。

薬物療法に頼る場合

頭痛薬の選び方

更年期に起こる頭痛は、ホルモンバランスの変化やストレスなどが原因であるため、市販の頭痛薬では効果が得られない場合があります。
市販薬を使用する場合は、薬剤師に相談し、自分に合った薬を選びましょう。また、頭痛が頻繁に起こったり、市販薬では効果が得られない場合は、医療機関を受診してみて下さい。

ホルモン補充療法

更年期に起こる頭痛は、ホルモンバランスの変化が原因である場合があります。ホルモン補充療法は、エストロゲンなどの女性ホルモンを補充することで、ホルモンバランスを整える治療法です。

ホルモン補充療法は、頭痛をはじめとした更年期症状の改善に効果が期待できますが、頭痛以外に更年期症状のようなものが見られない場合は、効果が期待できないこともあります。ホルモン補充療法を受けるかどうかは、一度医師と相談して決めましょう。

サプリメントの利用

更年期に起こる頭痛には、ビタミンB群、マグネシウム、カルシウムなどの栄養素が不足していることが原因である場合があります。これらの栄養素を補うために、サプリメントを利用することも有効です。サプリメントを使用する際は、医師や薬剤師に相談し、自分に合ったサプリメントを選びましょう。

まとめ

更年期における頭痛は、ホルモンバランスの変化、ストレス、身体的な変化など、複数の要因が影響しています。まずは考えられる原因を一つずつ確認し、しっかりと適切な対策を取ることで、軽減させることが可能です。

血流を促す、目を休める、生活リズムの改善、ストレス対策、薬物療法等を組み合わせて、自分に合った方法を見つけていきましょう。更年期は、人生の新たなステージの始まりです。頭痛に悩まされることなく健康的な日々を送るために、積極的にこれらの対策を取り入れてみて下さい。

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