ホットフラッシュかも?|ほてり・のぼせ・多汗の原因と対策【6選】

一般的に、閉経前後の5年を合わせた10年間の期間を更年期と呼びます。40歳を過ぎた頃から、男女問わずエストロゲンの分泌は不安定になり、多くなったり少なくなったりと揺らぎながら減少していきます。この“揺らぎ”によって、ほてりやのぼせ、発汗、不眠など身体的・精神的不調が現れますが、この更年期に起こる不調こそが更年期障害と呼ばれています。

 

実は更年期症状は100種類以上もの症状があると言われており、40〜50代女性の「2人に1人」がこの更年期障害に悩んでいます。

今回は、ホットフラッシュの原因や治療法などについて紹介します。

産婦人科医 監修

五十嵐 豪先生
(五十嵐レディースクリニック院長)
20年間2万人の更年期患者を診療し更年期と向き合う。
医学博士|日本産科婦人科学会 専門医|女性ヘルスケア専門医|日本プラセンタ医学会 理事|川崎市医師会理事|聖マリアンナ医科大学臨床教授

 

ホットフラッシュとは?

ホットフラッシュとは、のぼせ・ほてり・発汗の症状がみられる更年期障害の一つで、具体的には次のような症状があります。

・上半身が暑くなり、のぼせたり、ほてったりする
・急に顔が熱くなる
・滝のような汗をかいて止まらなくなる

ホットフラッシュは突然始まり、顔から全身に広がるのが特徴です。

これらの症状は数分間続くことが多く、日中だけでなく夜間にも発生することがあります。ただしホットフラッシュには個人差が大きく、症状の頻度や強度は女性によって異なります。 2~4分程度で次第におさまるケースが多いですが、人によっては1時間程度持続する場合もあります。

夜中、睡眠時に寝汗かくのですがホットフラッシュが原因でしょうか?
あさこさん
あさこさん
五十嵐先生
五十嵐先生
可能性はありますが断定はできません。

ホットフラッシュは昼間だけではなく、夜間も同じように起こることがあります。就寝中に起こった場合、何度も目覚めてしまい寝不足や睡眠障害になる恐れもあります。他の病気の可能性もありますので、あまりにひどい場合は医療機関の受診をお勧めします。

ホットフラッシュの原因は?

エストロゲンの減少

ホットフラッシュが起こる原因は、卵巣から分泌される女性ホルモンの一種である「エストロゲン」の分泌量の減少です。エストロゲンは体温を調節する役割を担っており、その量が減ると体温調節機能が乱れ、急なほてりやのぼせを引き起こします。更年期にはエストロゲンの分泌量が特に減少し、ホルモンバランスが大きく崩れるため、多くの女性がホットフラッシュを経験します。

また、ストレスや睡眠不足、食生活の偏りなどもホットフラッシュの発生に影響を与えることがあります。これらの要因を理解し、適切な生活習慣の見直しや、必要に応じて医師の助言を求めることが大切です。

医師からの注意ポイント ホットフラッシュは40〜50代女性の場合、更年期の影響が高いですがセカンドオピニオンも重要です。他の病気の可能性もあるので改善しない場合は内科等の受診も推奨します。

その他

次の病気の可能性もあるので、注意しましょう。

甲状腺疾患

甲状腺機能亢進症では、体のほてりや動悸、疲れやすさ、発汗、手の震え、体重減少といった症状が出ます。特に20〜50代の女性に30〜60人に1人ほどの割合で発症する、比較的女性に多い疾患です。血液検査で診断が可能です。

高血圧

血圧が上がることで、顔が赤くなったり、顔や体のほてり、頭が重い、頭に血がのぼるといった症状が出ることがあります。女性は、エストロゲンの分泌量が低下する更年期の時期に動脈硬化が進行し、血圧が上がりやすくなるため、高血圧にも注意が必要です。毎日、自宅での血圧測定も診断に重要です。

糖尿病

糖尿病でも、ほてり症状を感じることがあります。糖尿病は、太っている方の病気と思われがちですが、日本人は痩せ体型でも糖尿病を発症する方が多いです。少食で、運動不足(筋肉が少ない)の女性は、閉経前後での糖尿病発症リスクが高いといわれています。

ほてり以外に、頻尿、喉が渇く、疲れやすい、手足の感覚が鈍い、目がかすむといった症状があれば、糖尿病かもしれません。血液検査や尿検査で診断が可能です。

ホットフラッシュはいつまで続くの?

症状が出始めてから均9年と言われています。

50代後半〜60代前半ぐらい、一般的には50代後半には落ち着くケースが多いです。ただし、約2割の人はそれ以上続くとも言われています。

今日からできる!予防と対策💡

ホットフラッシュの予防策や、発生した時でも症状を軽減するための対策について紹介します。 すぐに取り入れることができるものもありますので、是非参考にしてみてください。

ホットフラッシュの予防について

食事のメニューに気をつける🍽️

ホットフラッシュは完全に予防できるものではありませんが、大豆はイソフラボンという女性ホルモンに似た成分を含有しております。大豆を摂取することで日本人女性の約50%の人にはエストロゲンと似た働きをします。アレルギーがない方は、積極的に日々の生活に取り入れてみてください。

ホットフラッシュの対策【6選】

ホットフラッシュ対策の6つ紹介していきます。

ホルモン補充療法(HRT)を行う

更年期の症状、特にホットフラッシュ(ほてり・のぼせ・多汗)に対する一つの有効な対策として、ホルモン補充療法(Hormone Replacement Therapy、略してHRT)があります。HRTは、更年期によって減少する女性ホルモンを補う治療法です。ホットフラッシュの軽減に加え、骨粗しょう症のリスクを減らす効果も期待できます。

HRTのメカニズム ✔️

更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減少します。HRTでは、エストロゲンプロゲステロン(子宮内膜を保護するホルモン)を補充し、ホルモンバランスを整えることで、更年期症状を軽減します。

HRTの種類

HRTには、経口薬、パッチ、ジェルなど複数の形態があります。担当医と相談して最適なタイプを選択しましょう。

医師からの注意ポイント HRTは多くの女性に有効ですが、すべての人に適しているわけではありません。乳がんの既往歴や血栓症のリスクがある方など、HRTを使用出来ない方もいらっしゃいます。担当医師と十分に相談してHRTを開始してください。

漢方

漢方治療は西洋医学とは本質的に異なる医学体系に基づいており、特定の症状を改善するというよりも、身体全体の状態やバランスを正常な状態に戻すという方法で治療をおこないます。ホルモン補充療法ができない方・体に合わなかった方はもちろん、ホルモン補充療法と併用することもできます

ホットフラッシュに効果的な漢方薬は、

  • 桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)
  • 当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)
  • 加味逍遙散(かみしょうようさん)

などが挙げられます。体質によっては漢方薬自体が合わない方もいるため、その点を理解しておくことも大切です。

プラセンタ

ホットフラッシュの対策としてプラセンタ療法も選択肢となります。プラセンタはヒトやウマなどの胎盤が原料の薬剤で、ホットフラッシュや更年期に伴う症状を緩和に効果的です。また、肌の弾力性や免疫力の向上、疲労回復などの効果も期待できます。

プラセンタはサプリメントや注射、化粧品など様々な形で利用されていますが、使用する際には品質の高い製品を選ぶことが重要です。体質によっては副作用が発生する場合もあるため、使用前には担当医師との相談をお勧めします。

また、注射剤はヒトの胎盤から抽出している血液製剤となり、使用後は献血や臓器提供はお控えください。プラセンタによる治療は、ホットフラッシュの緩和だけでなく、全体的な健康状態の改善にも寄与することが期待できます。

適度な運動をする

適度な運動をすることで、自律神経のバランスを整えることができることに加え、運動によって汗をかくため、体内の老廃物を排出することができます。ただし、激しい運動は逆効果になることがあるため、無理のない範囲で行いましょう。

散歩や1日5分〜10分程度の軽い運動から始めるのがオススメです。

睡眠をしっかりとる

睡眠不足はホットフラッシュを引き起こす原因の一つです。睡眠時間をしっかりとることで、自律神経のバランスを整えることができます。また、寝汗をかくことが多い場合は、通気性の良い寝間着を選ぶようにしましょう。

ストレスを減らす

ストレスは自律神経を乱す原因の一つです。趣味やスポーツなど、自分なりの気分転換方法を知ることでストレスの軽減に繋がります。また、強いストレスを感じたときには、深呼吸やストレッチなど、自分に合ったリラックス方法を見つけることができると良いです。

最後に

「ただの年齢のせいだろう、、」「きっと更年期だろう、、」と自己判断だけに頼ることは危険です。更年期障害ではなく、他の病気のサインの可能性もあります。 更年期の症状が辛い、と少しでも思った際は、ぜひ気軽に更年期を熟知した医師にご相談ください。 適切な診療を受けて、何が原因なのか突きとめることが大切です。

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