【医師徹底解説】手指の不調は実は更年期が原因かも?|手指のこわばり・曲げにくい

一般的に、閉経前後の5年を合わせた10年間の期間を更年期と呼びます。40歳を過ぎた頃から、男女問わずエストロゲンの分泌は不安定になり、多くなったり少なくなったりと揺らぎながら減少していきます。この“揺らぎ”によって、ほてりやのぼせ、発汗、不眠など身体的・精神的不調が現れますが、この更年期に起こる不調こそが更年期障害と呼ばれています。

実は更年期症状は100種類以上もの症状があると言われており、40〜50代女性の「2人に1人」がこの更年期障害に悩んでいます。

今回は、手指のこわばり、痛み、しびれ、曲がりにくさなどの不調の原因や治療法などについて紹介します。

産婦人科医 監修

北野 理絵先生
産婦人科医師として活躍するほか、ヨガやピラティスのインストラクターの資格も保持。 産婦人科専門医・指導医、臨床遺伝専門医、日本医師会認定産業医、女性のヘルスケアアドバイザー、全米ヨガアライアンス認定インストラクターRYT200等

 

更年期の「手指の不調」はなぜ起こる?

更年期には、女性ホルモンの減少によって様々な身体的変化が起こります。その一つとして「手指の不調」が挙げられます。

・最近朝起きると、指がこわばり痛い
・パソコンが打ちにくい
・物が持ちにくくなった気がする

上記のような症状を感じることはありませんか?

この症状は、ホルモンバランスの乱れによって関節や筋肉に影響が及ぶために生じると考えられています。更年期に女性ホルモンのエストロゲンが減少し、関節の潤滑油の減少や腱の柔軟性低下します。その影響で手指の不調(こわばりや曲げにくさ等)の症状が出てしまうのです。

また、更年期の時期はストレスや不安が増えがちな時期でもあり、これらの精神的要因も手のこわばりを引き起こすことがあります。

手指のこわばりだけで受診しても大丈夫でしょうか?
あさこさん
あさこさん
北野先生
北野先生
もちろんです!

まずは詳しい問診を行います。そこから精密検査に進んだり、別の科の専門医へつないでいくこともできます。

ここでは、事前に防ぐためにも「手指の不調」「指が曲がらない」などの症状について深く掘り下げ、更年期の手指の不調について理解を深めていきましょう。

更年期の「手指の不調」を放置しておくとどうなるの?

更年期の手指の不調は、初期段階では軽い症状であっても、時間が経過するにつれて症状が悪化することがあります。放置すると、日常生活の中での細かな作業が困難になるだけでなく、症状が慢性化し、関節の変形等を引き起こすリスクも高くなります。

また、手指の不調が続くことで、ストレスや不安が増大し、精神的な健康にも影響を及ぼすことがあります。

このような事態を防ぐためにも、更年期に発症する手指の不調(手指のこわばり、痛み、しびれ、曲がりにくさなど)には早めの対処が重要です。

実は、更年期の手指のこわばりは、適切なケアと対応によって改善することが可能なんです!

早期に改善し、日常生活の質を保つために、自己管理と医療の双方からのアプローチをオススメします。

 

今日からできる!治療とセルフケア💡【4選】

更年期に起こる手指の不調は、適切な処置を行うことで、症状を軽減し、快適な生活を送ることが可能です。以下に、更年期の手指の不調の治療方法を4つご紹介します。

ホルモン補充療法

手指の不調が更年期症状による場合は、エストロゲンの減少により引き起こされるため、ホルモン補充療法(HRT)が最も効果的な治療方法です。ホルモン補充療法(HRT)は医師の指導のもと、エストロゲンを補充する薬を服用する治療法です。ホルモン補充療法は婦人科にて行うことが可能です。

漢方薬

ご自身の体質に合わせて、手指のこわばりやその他の症状に対して漢方でアプローチします。

最近ではオンラインでも気軽に受診することが可能です。婦人科が遠くて通いにくい方や忙しくて通院時間がなかなか確保できない方にオススメです。

ストレッチと手のエクササイズ

手指の不調を緩和するための簡単な方法は、定期的なストレッチや手のエクササイズです。
指を伸ばし、握る、回すなどの運動を日常的に行うことで、関節の可動域を維持し、筋肉の柔軟性を保つことができます。また、ヨガなど、全体的な身体のバランスと柔軟性を高める運動も効果的です。これらのエクササイズは、血行を促進し、関節のこわばりや痛みを軽減します。

最近だとYouTubeやInstagramなどで、手指のエクササイズ動画が検索できます◎
簡単に日常に取り入れられるので試してみてください。

 

食生活の改善

手指の不調は、食生活の改善も重要です。特に、カルシウムやビタミンDを豊富に含む食品の積極的な摂取が推奨されています。乳製品、緑黄色野菜、魚などは、骨や関節をサポートする栄養素を多く含んでいます。また、オメガ3脂肪酸を含む食品(例:サーモン、くるみなど)は、抗炎症作用があり、関節の炎症を軽減するのに役立ちます。

加工食品や砂糖の摂取は控えめにし、全体的にバランスの良い食事を心がけましょう。

手指の不調は何科を受診したらいいの?

手指の不調を感じた時に、どの科を受診すれば良いのかが疑問に感じる方が多いのではないでしょうか?病院に行く時に検討すべき場所は主に以下3つの科です。

婦人科

ご自身の年齢が40~50代の場合はまず、更年期症状の一つである可能性を疑ってみてください。
更年期症状の可能性がある場合は、婦人科での相談をおススメします。婦人科では、更年期特有の身体変化やホルモンバランスの乱れに対する治療やアドバイスを受けることができます。手指の不調等が更年期のホルモンバランスの乱れによるものであれば、婦人科での治療や指導がもっとも有効です。特に、ホルモン補充療法では治療から約1週間ほどで効果を実感できる場合もあります。

整形外科

更年期症状とは別の可能性があると判断した場合は、整形外科での受診も検討してみてください。
特に関節の痛みや腫れ、手指の形状の変化などが伴う場合は、関節炎や腱鞘炎など、別の医療的な原因が考えられます。

リウマチ科

更年期に手のこわばりや痛みが生じると、関節リウマチの可能性も疑われます。
関節リウマチは関節に炎症を起こす自己免疫疾患の一つで、特に更年期を迎える女性に多い傾向にあります。リウマチ科では、血液検査やX線検査などにより、関節リウマチかどうかの判定を行い、炎症の程度を診察します。診断後は、抗リウマチ薬や免疫調整薬など症状に応じた治療が行われます。


北野先生
北野先生
更年期の手のこわばりや痛みがなかなか治らない場合は、リウマチ科の受診も検討してみてください。

最後に

更年期において手指の不調が起こった場合、放置せずに「婦人科」「整形外科」「リウマチ科」のいずれかの医療機関を早期受診することを推奨します。健康状態に応じて、最も適切な科を選択し、専門医の診断と治療を受けることが何よりも重要です。

自己判断せず、早めの専門医へ相談することで、症状の改善につながります。手指の不調や違和感を感じた際は「こんな症状で病院に行っていいのかな?」と我慢せず、是非気軽に受診してみてください。

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医師が処方できると判断した場合にはホルモン補充療法や漢方薬を処方することが可能ですので、お気軽にお試しください。

 

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